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原案は秋元康「あなたの番です」のマーケティング戦略

 

 

「あなたの番です」は秋元康が原案

「あなたの番です」は日テレ系の日曜ドラマとして2019年4月から9月まで2クールぶち抜き放送をされてます。最近私の周りでとても人気だったので調べてみると、原案は秋元康先生でした。もう話題作り、コンテンツ作りの天才ですね。 

キャッチコピーは第一章が「毎週、死にます。」で第2章・反撃編が「殺(や)られる前に暴いてやる。」との事。この記事では極力ネタバレを回避して掲載しますが、興味があり見る予定だった方はご注意ください。また、『扉の向こう』というショートドラマが制作され、Huluにて独占配信されています。

 

日テレドラマ

 

「あなたの番です」の評判とマーケティング戦略

「あなたの番です」の評判

「あなたの番です」の口コミをネット上でみていると「次から次に殺人が起きてドキドキが止まらない」「毎回1個の事件が解決したと思ったらまた次の事件が起きるので目が離せない」など、キャッチコピーにもあった毎回誰かが殺されるというストーリー構成に対しての評価が目立つ。

視聴率も10%以上をアベレージで獲得しており最近のドラマとしては数字は取れている。この口コミや結果をもとに、何故この「あなたの番です」が人気なのか推察していく。

 

 

 

「あなたの番です」のマーケティング戦略

大きく語ると、「あなたの番です」は第一章で毎週殺人を発生させ話を広げるだけ広げて黒幕が誰かと視聴者に興味をもたせる。そして、第二章<反撃編>にて第一章で広げた伏線を回収していくというものだ。

今までの伏線回収系にしても、どんでん返しは多くて2回が平均的なストーリーだった。しかし、「あなたの番です」は毎回殺人を起こして毎回犯人が誰だか視聴者に考えさせる。これは、近年消費者が刺激に慣れてしまっている事に対する対応ではないかと考えている。

総務省の情報白書をみていると20代のテレビの視聴は2005年に180分あったのに対して最近は120分まで落ち込んでいる。その分インターネットが伸びているのだが、ほぼスマホに取られていると思っていいだろう。スマートフォンの中では常に情報が流れリフレッシュされている。世の中にあふれる情報は爆発的に増えているのに対して、人間が処理できる情報というのはほぼ変わらない。その中で、消費者は常にネットに接続された環境にいてSNSをのタイムラインやニュースアプリのポップアップなど、常に流れてくる情報に触れている。昔と違い1冊の本という大量の情報にある程度の時間を苦手とし、300字程度の要約された記事、画像や動画など視覚的にわかりやすく処理できるインターフェイスで情報を処理することに慣れてきている。最近では本の要約サービスのflierなどが誕生しており、本を1冊読むことさえ省略をしたくなる人が多い事が伺える。

ここからは推測でしかないが、近年の消費者の忍耐力と刺激を考慮したストーリ作りとそれに加えて誰かに言いたくなるシカケがこのドラマの流行った理由ではないだろうか。

日テレドラマ

忍耐力の話

最近ドラマを最後まで見れない人が増えたという話も良く聞く。Aというストーリーを1クールA1〜A12の12回に分けてA1、A2、A3...とずっと毎週観続けるという事が出来なくなっているのではないだろうか。 「あなたの番です」は2クールなので通常のドラマだとストーリーをA1〜A24に分けて展開していく。これを改善するにはコナンスタイル(毎回事件が起きて、1〜2話で完結していく)で展開する方法がある。

クールで展開するドラマは1つの大きなストーリーが多いが、一部コナンスタイルもある(アニメ実写など含む)。忍耐力が低くなってきた消費者に対してはコナンスタイルが受ける一方でクールで消滅するドラマとしては、12話のうち2,3話だけみて作品に惹かれ満足するというのは難しい。

今回「あなたの番です」は1回1回事件を発生させ1話完結しているように思わせる事により視聴者を飽きさせず、さらに話自体は1人の黒幕(かどうかは作品では明らかにされていない)を探すという思考をもたせる事でクールを通して1つのストーリーを楽しませる工夫が出来ている。

 

刺激の話

単発の短い情報に慣れた消費者を飽きさせずに毎回つなぎとめる、そのために毎回誰かが殺されるというシンプルな話なのだがストーリー構成を行う上ではそんな毎回誰かが死んでいてはそれこそコナンくん状態だ。1つのストーリーの中でこれだけ多くの要素をうまくまとめるのは至難の業だ。また、余談だがコナンくんの住む街米花町を舞台にしたギャグ漫画「犯人の犯沢さん」という本がシュールで面白いので興味があったらみてほしい。

名探偵コナン 犯人の犯沢さん(1) (少年サンデーコミックス)

 

話題の話

これも秋元康さんだからこそ出来ることなのかもしれないが、これだけ多くの殺人が起きていながらも黒幕が未だにわからない。議論になるストーリー展開が人々の話題になり、どんどんと視聴者が増えていく。また、まとめて観るにはhuluでしか見れないのだが、Tverなど見逃し配信が充実してきた事により、放送しながら視聴者を増やすという手法が使えるようになった事も大きい。

 

視聴者の変化に合わせてくる秋元康さん、さすがだなと思います。また、記事を書いている現時点では2章途中ですが、終わった時このドラマが再度どう評価されるかを追っていきたいと思います。

hulu

日テレドラマ

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