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スタバのサードプレイス戦略と時代の変化への対応

スターバックスはここ20年ほどで、誰もが知るコーヒーブランドになりました。しかし、今でこそ国内一位の店舗数を誇るスターバックスですが、日本に上陸した頃にはこの様な拡大をするとは誰も思っていませんでした。

さて、本日はそのスターバックスのサードプレイス戦略と今後のスターバックスの展望ついて書かせて頂きます。

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 スタバのサードプレイスへの想い

 スターバックスの歴史

スターバックスは1971年、ワシントン州シアトルでスタートしました。創業当時はカフェではなくコーヒー豆を焙煎する小さなコーヒー豆の販売会社でした。因みに、スターバックスコーヒー社にマーケティングの役員として入社した、ハワード・シュルツがミラノのエスプレッソ文化に感銘を受けそのエスプレッソと他の飲料を展開する店舗を作るべく奮闘したのですが会社と折り合わず。自分の理想を体現するために一度会社を出ています。そして立ち上げたコーヒーショップで大成功を収めスターバックスコーヒー社を買収「スターバックス」と改名して再スタートしてます。それだけ、彼はスターバックスのブランドに思い入れがあるんですね。

日本では1995年にサザビー(現在のサザビーリーグ)とスターバックスインターナショナルがスターバックスジャパン株式会社を作り、1996年に松屋通りに一号店を構えました。そこから今に至るまで1,458店舗 (うちライセンス店舗115店舗)と日本最大のコーヒーチェーンに拡大しました。

 

コーヒーを楽しむ空間へのこだわり

お気付きの人もいるかもしれませんが、他のチェーンだとパンの焼けるいい匂いがしたりしますが、スターバックスには基本匂いの強いフードはありません。その理由は、コーヒーを楽しむ空間を作る事を最優先に考えているから、他の食品の匂いがコーヒーの風味を楽しむ事を阻害しないようにする為です。以前、売れ筋のフードがあったのですが、そのフードの匂いが店内に充満してしまった為にそのフードの扱いをやめてしまったくらいです。

 

スタバの座席や空間に対するこだわり

匂いの強いフードは置かない

スターバックスは座席に対してもこだわりがあります。ゆったりとしたコーヒータイムを楽しめるように、テーブルが広く作られてます。これは、カフェで仕事したい人に都合が良くノマドワーカーなどはこぞってスターバックスを使っていました。また、空間も間接照明や落ち着いた色使いなど疲れない配慮がなされています。

禁煙へのこだわり

今でこそ多くのコーヒーショップでは分煙・喫煙の流れがありますが昔はどこの喫茶店でもタバコを吸うのが当たり前でした。そんな中、スターバックスは当初より禁煙を貫いていました。といっても、上陸当初の日本の男性の喫煙率は50%を超えており最初はパートナーであるサザビーの経営陣側の意見を聞き入れ最初の2店舗は”分煙”でスタートしました。しかし、空調の限界により禁煙エリアに煙が入ってしまうこと。そして、実験的に喫煙スペースを狭めても影響が少なかったことなどを受けて3店舗目から禁煙としました。これにより、今の全面禁煙のスターバックスが出来上がりました。

 

 

OMO時代のスタバッを取り巻く市場環境

OMOとカフェ(コーヒーショップ)

OMOとは、オンラインとオフラインが溶け合いその差が無くなった世界の事を指します。日本ではまだコーヒーはカフェで飲む、コンビニやカフェで買って帰るというのがコーヒーの一般的な購買行動かと思います。しかしながら、中国ではもうコーヒーは届くものになっています。中国は14億人の市場があるのですが、日本よりもフードデリバリーサービスが活発です。その背景にはペイメント事業が日本よりも進んでいるという背景もあるでしょう。

ラッキンコーヒー:Luckin Coffee(瑞幸珈琲)

そういったOMOの背景もあり、中国では爆発的にテイクアウト需要が増えた結果座席を持たないスタンド型のコーヒーショップの増加が起きました。そんな中でも代表的なのがラッキンコーヒーです。ラッキンコーヒーは、スマホで注文して表示されたQRコードを店頭で出すと引き換えてくれるシンプルな仕組みで、スタバに比べて価格も1、2割ほど安くなっている。さらには、プリペイドで2杯頼むと1杯が無料になるなど豊富なクーポンがあり「1杯無料だから同僚に配る」などといったコミュニケーションも生んでいる。

スタバのアリババとの提携

一方、中国におけるスターバックスコーヒーはアリババと独占的パートナー契約を締結し、アリババのグループ企業であるウーラマ(餓了么)と組んで配送事業に乗り出したのだ。今まで、ここまで”場”を大切にしてきたスタバとしては思い切った戦略転換である。

日本ではUberと提携を強化

日本においても、Uberと提携を強化している。先日、近所のスタバに寄ったら私の前に1人しか居ないのに紙袋が6個も7個も並んでいた。「前の人は会社に大量に買って変えるのかな?それにしても持ちきれないほど多いな」と思っていたところUber Eatsの配達員が次々に入ってきて番号を伝え紙袋を持ち帰っていた。聞いたところ、朝食とコーヒーのセットが送料無料になるキャンペーンをやっていてそれで注文が大量に入ったとの事。 

 

 

スタバが次に目指すサードプレイス

これまで記載したように、スターバックスはコーヒーを楽しめるサードプレイスを求め会社を立ち上げそして今に至るまでこの理念は変わっていない。しかし、世界の消費行動が変わるにつれてスターバックスも配送事業を始めとした”場”を介さないビジネスの波に飲まれている。そんな中で、スターバックスの次の戦略はどういうものなのだろうか。そこを紐解くヒントとして、新しい店舗戦略をみていく。

スターバックス リザーブ ロースタリー

スターバックスは2017年上海に世界最大規模の旗艦店「スターバックス リザーブ ロースタリー上海」をオープンした。アリババの「タオバオ」アプリのARを使ってコーヒーのサイフォンにスマホをかざすと豆の種類がわかるサービスなどを提供している。日本においても、中目黒にスターバックス リザーブ ロースタリーが新しくできた。コーヒースペシャリスト、マスターロースターとの会話を楽しめるスターバックスの日本初の旗艦店だ。店内ではコーヒー・ティー・カクテルなどが楽しめるほかイベントスペースも併設しており、中目黒はオープン当初に6時間待ちとなった。

私が感じたのは薄れるブランドイメージに対抗するように強烈な刺激を与え続けようとしているのではないかという事だ。今まではコーヒーショップとしてのスターバックスを「コーヒーを通して楽しむサードプレイスである店舗」を通して細く長く伝えていたのが、スターバックスというブランドをロースタリーのような強烈な店舗体験という手段を通して消費者に植え込むという戦略に切り替えていく、いや行かねばならくなるのではないだろうか。

幸い、日本は中国と違いコーヒーの配送はまだ一部の消費行動にとどまっているだろう。しかし、OMOに関しては中国が一番進んでおり、アメリカ・EUが追随できて初めて日本に本格的に入ってくるだろう。その時を見据え、日本でもスターバックスは様々な戦略を仕掛けてくるだろう。ここからの3年間はスターバックスから目が話せない。

 <スタバの戦略はこの本からも学べます>

 

<OMO戦略はこの本からも学べます> 

 

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