このラブレターはどこへ行くのか。

とある広告屋さんが誰かに向けてコトバを紡ぎ続けます。

広告代理店は無くなるのじゃないかという話

突然ですが、広告代理店は不要職種として真っ先にあげられるようになって久しいですが、広告代理店ってそもそも何しているの?という方の為に少し話をします。

 

広告代理業は、新聞の広告枠の販売から始まりました。

 

新聞は購読料を取っていますが、紙面の一部を広告枠として販売してます。

紙面の広告枠や折込が無くなったら皆さんはより高いお金を購読料に払うことになるでしょう。

新聞社の広告枠を代理して、広告を出したいと思っているクライアントに販売していく代理業を行う会社として広告代理店は誕生しました。

 

その後、TVというお化けメディアが誕生して電波法に守られたTVCMの販売代理業を中心に広告代理店は半世紀に渡り隆盛を極めてきました。

ちなみに、欧米はクライアントの広告戦略の代理業を行い、必要に応じてメディアの広告枠を購入するのに対して、日本はTVが強すぎた事もあり、メディアの広告枠を大量に仕入れてクライアントに販売するという違いが出てきました。

 

その成り立ちの違いから、メディア寄りの日本の大手広告代理店はトヨタ、日産、HONDAなどの同じ業種の大手を1つの会社で受け持っているのに対して、欧米はクライアント寄りなので1業種1社制という制度がひかれ1つの広告代理店では同じ業種のクライアントは1社しか扱えないようになっています。(例外は勿論多々ありますが)

 

しかし、新聞はスポーツ紙まで含めると2000年から2014年までで約800万部(約16%)発行部数が落ちましたし、TVも数値化するのが難しいが視聴者総数は確実に下がっています。

衰退するマスメディアに成り代わるように成長したのがインターネットです。

広告としてのインターネットの黎明期は、バナーなど既存の広告媒体と同じようにネットメディアの枠から始まったインターネットネット広告は最近ではユーザー属性に合わせて広告を出すターゲティング広告、検索ワードに連動して出す検索連動型広告など既存の広告では出来なかった事が簡単に出来るようになりました。

例えば、車の情報を調べたり、一度車の広告をクリックすると、しつこいように車の広告が随所で出てきますよね。ああいったものですね。

YouTubeの広告も年齢や性別で区切って出せるので、女性に髭剃りのCMが出ないように、皆さんが登録している情報に紐付いて表示されているわけです。

 

今まではTVCMとかって誰が見ているのか、何人見ているのかイマイチわかりにくい。しかも、見てどうやって反応したかは結果論であって広告によるものなのかどうなのかも分からずブラックボックス化しており、高い金払ってるのに本当に効いているのか?と広告代理店に対する不信感も募っている中でインターネット広告の誕生。

クライアント達は「誰に届いているか、どのくらい表示されたか、クリック(反応)したか分かるぞ!」となりましまった。

しかも、テレビと違ってインターネットは許可制じゃないのでメディアは有象無象にある。そうなると代理店は各メディアをコントロールなんてほとんど出来ないし、高い専門性が必要になってくる。

そう、広告を出すのに既存の代理店じゃなくても良くなってしまったんですね。

そこで生まれたのがインターネット専門代理店のサイバーエージェントやオプトです。

 

とはいえ、日本の古い体質では新しく出てきたものに対して大きな予算は振れません。しばらくはゆるやかに推移していたのですが、インターネット広告が確実に市民権を持ちはじめ大手も大きな予算を投下するようになってきました。そして去年ついに電通の『2014年 日本の広告費』によるとインターネットの広告費は1兆円を越えました。これがどのくらいかと言うと雑誌(2500億)の4倍、新聞(6000億)の約2倍です。2009年にインターネット広告費が新聞を抜いた!と騒いでいたらあっというまに大差が開いてしまいました。

 

と、前置きが長くなってしまいましたが広告代理店不要説の話に戻ります。

今までのマスメディアはよくも悪くもメディア側と広告代理店の半ば協業の様なカタチで世の中へ配給されてました。クライアントも広告代理店を通さずしてマスメディアに広告を出すことがしにくい状況でした。

 

しかし、マスメディアが力を急激に落としてインターネットが力をつけてくるとマスに投下されていた広告費がGoogleYahoo!Facebookなどのインターネット企業の広告枠に使われる様になりました。

一部認可制ですが、GoogleFacebookの広告枠は直接個人でも購入出来ますし、大手代理店に高いフィー払わなくても安いお金でやってくれるインターネット代理店が沢山出てきた。

最近ではアドテク企業と呼ばれる行動分析や表示の最適化など高度な事を得意とするところも出来ていよいよ広告代理店がその領域で出来る事が無くなってきたわけです。

 

そこで出てきたのが広告代理店不要説。

 

インターネットの発達で、販売代理業はどんどんと廃業に追い込まれてきました。

インターネットで直接買えるんだからもう仲介いらないよね?そうだよね?

という流れがついに広告代理店にも降りかかってきた。

直接媒体の枠買えるんだからもう代理店いらないよね?と。

でも、媒体に広告出すもろもろの手続きやレポートは面倒だからインターネット広告代理店にお願いしようとなる。

 

トラディショナルな広告代理店は何も枠の販売代理業だけを行ってきたわけではない。

TVCMではこういう表現をしましょうというクリエイティブ、

消費者行動に合わせた販売戦略を提案するマーケティング機能も提供してきた。

 

しかし、近年では今まで一部広告費の多い企業だけが持っていた宣伝部の様な機能を社内に持つようになってきた。

また、自社の広告宣伝活動を行うインハウス代理店を子会社として持つところもあり、いよいよトラディショナルな広告代理店が出来る事は少なくなってきた。

 

では、トラディショナルな広告代理店は本当に不要なのか。

結論、働いている実感としても、今まで通りの役割だと、不要であると思う。

 

ひとつ生き残る手段として、クライアント以上に高い専門性を持ったコンサルティング能力を有する人間が、販売戦略に対してのコンサルティング費用を得るといったカタチが考えられる。

 

ただ、コンサルティング領域で高いコミッションフィーを取り超優秀な人材を抱え込むコンサルティング会社とこの領域で全面対決するのは得策ではない。

やはり僕らはコミュニケーションのプロとして、広告屋として、物語を描く人にならないといけない。

今はマスメディア、インターネット、PRなどなど多くの領域で専門企業があり、クライアントも最安で発注できるのでそれぞれに分割して発注をする事が多い。

その結果、一部しっかりとしたクライアント管理の元行われているもの以外はメディアプランニングやクリエイティブがめちゃくちゃで投下した費用を最大化出来ていないといった事が起こってくる。

トラディショナルな総合広告代理店は初心に帰ってこういったメディアをまとめる役割として改めて存在を主張していくべきだ。

 

もちろん、一筋縄ではいかないでしょう。

全ての上に立ち差益を取ると、クライアントは嫌がるし。(最近特に日本の企業は以下に出費を減らして利益をあげるかという事に躍起になってるからだ)。

 

しかし、このままダラダラと同じ事を続けていると広告屋は本当に不要になる。

オリンピックが終わった当たりから5年の間、2025年までにトラディショナルな広告代理店の数が極端な話半分になるかもしれない。

 

この構造不況は正直広告屋1人でなんとかなる問題ではない。

大手広告代理店が何とか構造を変えてくれない限り続く問題であると思う。

 

でも生き残る為に、出来る事はある。

とにかく僕らアドマンはとにかくスターになることだ。

クライアントが離したくないようなスターに。

自分をブランド化する。自分じゃないと出来ないような仕事を作る。

ファンを沢山増やす。

 

そうすれば自ずと発言力が強くなり、総合広告がメディアのまとめ役になれなくても、1人のアドマンとクライアントでメディアのまとめ役になれるかもしれない。